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任意整理の手続きについて
相談から受任通知書の送付まで
最初に法律相談所で借金に関する相談をします。
多くの法律相談所は任意整理に関する相談を無料で行っているので、基本的に任意整理を依頼する前にお金が発生することはありません。
そして借金の情報や貯金の残高などの情報を伝えて任意整理が行えるのかどうか、ほかの債務整理よりも適切かどうかを判断してもらいます。
ただし司法書士の場合は、140万円以下の借金しか代理人として任意整理の手続きを行えません。
140万円という金額は個別の債権ごとの価額なのでA社から130万円、B社から130万円で借金の総額が260万円の場合は任意整理の手続きを行えます。
しかしA社から150万円を借りている場合には、司法書士は任意整理の手続きを行えません。
そして任意整理を行うことを決めたら、依頼を受けた弁護士や司法書士などが委任契約締結の日に債権者のもとへ受任通知書を送付します。
これにより賃金業者などの債権者は債務者に対して直接取り立てを行えなくなります。
弁済原資の積み立てから和解書を取り交わすまで
受任通知書を送付しても返済の義務がなくなるわけではないため、将来の弁済に備えて債務者は弁済原資の積み立てをします。
さらに受任通知書の送付と同時に、それまでの借金の貸し借りに関する情報がまとめられた取引履歴と呼ばれる書面の開示を請求します。
そして開示された取引履歴をもとに「引き直し計算」と呼ばれる利息制限法に則った利息の再計算を行います。
また取引履歴の開示までにかかる時間は債権者ごとに異なり、取引履歴が開示されなかった場合には再請求するか、ほかの資料に基づいた推定計算を行います。
過払い金の存在が判明した場合、債権者に対して返還請求を行います。
積み立てた弁済原資や過払い金などは、弁護士費用などを差し引いたうえで各債権者に対する弁済の頭金などに利用されます。
そして弁済原資の積み立てや過払い金の回収が済んだところで、返済条件を定めた和解案を作成します。
一般的に将来利息や遅延損害金などの免除によって借金の返済額を減額してもらい、3~5年ほどの分割払いで借金の返済が終わる条件の和解案を各関係者に送付します。
そして和解契約が成立したら、契約内容に基づいた借金返済を開始します。
また、和解契約は口頭だけで行うとあとになってから揉めることもあるので、通常は和解書(合意書)を取り交わします。
和解書によって任意整理が法的効力を持つようになるので、和解内容が守られていない場合に債務不履行責任を問うことができます。
任意整理の主な特徴について
任意整理のメリット
手続きが簡単
任意整理はほかの債務整理のように裁判所が介在しない方法なので、複雑な手続きが必要ありません。
さらに法律専門家に依頼すると債権者との交渉を含めた必要な手続きを代行してもらえるので、債務者にはほとんど負担がかかりません。
借金の返済額が減る
任意整理を行うと将来利息や遅延損害金などをカットできる可能性が高いので、借金の返済額を減額できます。
また利息制限法に基づいた引き直し計算によって過払い金が発覚した場合は、過払い金の返還請求を行って過払い金を借金の返済に充てたり返金してもらったりすることができます。
債権者からの取り立てが止まる
債務者の依頼を受けた弁護士や司法書士などが、債権者のもとに受任通知書を送付すると、債権者は債務者に対して直接借金の取り立てができなくなります。
そのため厳しい督促が止まり、精神的な負担が軽減されます。
官報に掲載されない
自己破産や個人再生などの裁判所を介した債務整理を行うと、氏名などの個人情報と一緒に債務整理を行った事実が官報という政府の発行する冊子に掲載されます。
しかし任意整理は裁判所を介さない債務整理なので、官報に載ることはありません。
任意整理のデメリット
ブラックリストに登録される
任意整理を行うと、その事実が各信用情報機関に事故情報として登録されます。
そのためクレジットカードの利用や作成、ローンを組むことなどが難しくなります。
また事故情報が消えるまでには5~8年ほどかかります。
保証人の負担が増す
債務整理の効力は保証人には及びません。
そのため保証人がいる借金の任意整理を行うと、債務者の代わりに弁済を求められる保証人が迷惑を被る可能性があります。