過払い金請求とは?

過払い金請求とは?

金の返済は計画的に行わなければいけません。

そのためには現在の残高と月に々いくらまで返済できるのかを見積もることが大切です。

返済は現在と未来を見るものですが、過去についても見ることをオススメします!

なぜなら、過去の返済状況によっては過払い金が発生しているかもしれないからなんです。

ここでは、そんな過払い金についてお話しします。

 

返済で発生していた過払い金

過払い金請求とは「過剰に返済していたお金を返済請求できる」ことを指します。

請求できるのは、返済時に発生していた利息部分になります。

 

どのくらいの利息が発生するのか

貸金業者が設定する利息は貸金業法によって15%~20%と決められています。

ですが、貸金業者によっては出資法の上限利息である29.2%の利息で返済を求めていたことがありました。

貸金業法の利息と出資法の利息の差がいわゆる「グレーゾーン金利」と呼ばれているものです。

出資法の利息は貸金業では適用できないため違法なのですが、罰則規定がなかったために野放しになっていました。

ですが、2006年1月に最高裁判所にて「支払い義務がない」という判決が下されています。

この判決によりグレーゾーン金利を撤廃する動きが活性化し、2006年12月に改正貸金業法が制定されたことによってグレーゾーンは本格的に禁止となりました。

同時に、過去に支払っていた利息に対しても「改正貸金業法」の内容が適用されるようになったため、出資法の金利で返済していた過去の借金が取り戻せるようになりました。

 

過払い金請求の大まかな流れ

過払い金請求をするときの大まかな流れを見ていきましょう。

 

請求できる金額の計算

最初に行うのが「請求できる金額の計算」です。

過払い金請求をするにしてもまずは、どれくらいの過払い金が発生しているのかを調べなければいけません。

まずは「貸金業者からの借用書、契約書の写し」、「残高証明書」、「返済や借り入れで使っていた通帳」などを自宅から探し出してください。

それらを使って返済額と返済で発生した利息の計算を行います。

通常であれば、過払い金が発生していたぶんだけ請求することになりますが、民法ではその請求額に5%の金利を加えることが可能です。

5%の金利を加えないことも一応できますので、請求する前にどうするのかを決めておく必要があります。

手元に金額を計算する資料がない場合

手元に金額を計算するための資料がない場合は、貸金業者から取引履歴を取得するという方法もあります。

取引履歴を取得するときは「取引履歴開示依頼書」を貸金業者に送付する必要がありますので、内容証明郵便で送付するようにしましょう。

内容証明郵便の効力

内容証明郵便を使うのは拒否されないようにするためです。

過払い金があることを自覚している貸金業者であれば取引開示依頼書を請求しても「請求を受けていない」とごまかしてくることがあります。

ですが内容証明郵便であれば、相手が受け取った日時や内容が記録されるため貸金業者側で隠蔽ができません。

そのためスムーズに資料請求がおこなえます。

次は訴状作成

過払い金の請求額が決まったら、訴状作成して裁判所に提出することになります。

ただし請求金額によって提出する場所が変わりますので気をつけてください。

請求額が140万円以下なら簡易裁判所、140万円以上なら地方裁判所に提出します。

裁判所によって管轄エリアが存在していますので、自分が住んでいるエリアを管轄している裁判所を探して提出しましょう。

訴状が裁判所で受理されると、こちらの弁護士と相手の弁護士が裁判所に赴き口頭弁論が行われます。

各々の主張を一通り出した後裁判所から和解するような勧告が行われます。

命令ではなく和解を最初に行われることには注意してください。

債権者からの要望に対して

和解を求めて話し合いをする時に債権者側から「以降の返済はしなくていいから過払い金請求も取り下げてくれ」といったかを提案してくることがあります。

そうした提案は一見するといいように思えますが、基本的には債権者が有利となるような提案なので却下した方が良いでしょう。

和解の成立

代理人同士の話し合いで和解が成立すれば、和解調書を作成して終了です。

以降は和解調書を元に債権者側が過払い金の支払いを行ってくれます。

和解調書を作ったにも関わらず再検した側が、履行してくれなければ再び裁判を起こすようにしてください。

和解できなかった場合は、和解が成立するまで裁判所で話し合いが行われます。

それでも結論が出なかった場合は裁判所の判決および結審を受けることになります。

裁判所で判決が下されればたいていは決着になるのですが、まれに債権者側が判決を不服として上訴してくることありますので注意が必要です。

そうするとまた裁判所で争うことになるので時間がさらにかかってしまいます。

 

時効には注意が必要!

過払い金が発生していればお金を取り戻すことは可能ですが、取り戻すまでには時効という期限が設定されていますので気をつけてください。

過払い金請求の時効は「最終取引から10年以内までの借金」となっています。

そのため最後の返済から10年以上経過している借金に関しては、過払い金があったとしても取り戻すことはできません。

「過払い金の請求金額を計算している時になってしまった」 というケースもありますので、過払い金請求をしようと思った時はなるべく早く行動するようにしましょう。

過払い金請求の時効で気をつけて欲しいのは、最後取引期間が対象なだけであり、いつから借金をしたのかは問題にならないことです。

そのため最後の返済が10年以内であれば借金をしたのが20年30年前であっても、過払い金請求が行えるようになります。

過払い金の支払いを債権者が嫌がっている場合、借金を始めた時期が時効を過ぎていると主張をしてくることもありますので、気をつけてください。

(もちろん彼らが主張することに法的根拠はありません。)

 

債権者側の言い分

過払い金を請求された債権者側も、黙って請求に応じるとは限りません。

あの手この手の主張をして請求から逃れようとします。

 

債権者の主張①

債権者が主張することの一つが「推定計算への反論」

こちらが計算した過払い金の請求額(推定計算に当たる)が間違っているのではないかという主張です。

ただし過払い金請求額は返済履歴の情報がすべて開示されていれば正確な請求額が計算できます。

そのため推定計算の反論を債権者がしてきた時は、取引履歴の再取得を主張してください。

債権者の主張②

債権者の主張の二つ目が「みなし弁済が適用されている」ことです。

お金を貸す時は利息制限法で定めた金利を適用しますが、厳格な条件を満たしていれば出資法の利息が適用できるという仕組みがあります。

それが「みなし弁済」です。

ただし普通にお金を貸しただけでみなし弁済が適用されることはほとんどなく、さらに裁判所が認めることはほとんどないので、主張されても気にする必要はありません。

 

時には妥協が必要です

過払い金請求では基本的に債権者側の妥協案に満足せずこちらの要求を貫くのが基本となりますが、場合によっては妥協案を受け入れた方が良かったりします。

 

なぜなら…その理由①

その理由の一つが「費用や時間の消耗」です。

相手の妥協案を受け入れずに争うことになり、決着をつけるのにかなりの時間を要します。

裁判が長引いたりすると裁判所に行く時間を確保するなど自分の時間を消耗するだけでなく、弁護士を雇い続けることになり費用がかさむといった問題も出てきます。

そうした事が重なると過払い金請求によって取り戻せたお金以上の出費となる場合もありますので、費用がかさむとわかった時は妥協したほうが良いことも少なくありません。

なぜなら…その理由②

理由の二つ目は「貸金業者にお金がない」場合です。

貸金業者はお金を貸しているからといって必ずしも潤っているわけではありません。

会社によっては経営状態があまり良くないこともあり、過払い金分のお金を支払うのに苦労してしまうことがあります。

そうした経営が苦しい貸金業者であれば、過払い金請求で合意が取れたとしてもお金がないゆえに支払いが滞ってしまいます。

企業とて無い袖は振れません。そうした貸金業者であれば、返ってこないお金に頼るよりは、確実に何かしらのメリットが享受できる提案を受け入れるほうがよかったりします。

 

なぜ過払い金請求が増えたのか?

過払い金請求をするのは債務者にとっては当然の権利だと言えます。

とはいえ一時期、過払い金請求が行えることをCMなどで猛烈にプッシュしていた時期がありました。

利用できる権利とはいえ、なぜそこまでプッシュしたのでしょうか?

 

背景には、弁護士の問題…

実は…そこには弁護士の過剰供給という問題かあったんですね。

2000年代の頃、裁判員制度が制定されることになり、裁判の数が現在よりも大幅に増えると予想されました。

そのため政府は「法曹3000人計画」を制定し大量の弁護士を生み出そうとしました。

更に…ここで大きな問題が発生します。

裁判員制度を導入しても裁判の数がそれほど増えなかったんです。

そのため、弁護士としての需要と供給が成り立たなくなり、司法修習生(司法試験に合格したばかりの弁護士のこと) が弁護士事務所に所属できないような事態が発生しました。

そうした弁護士たちが着目したのが、この「過払い金請求」だったんです。

仕事としては比較的難易度が低く、かつ確実に勝てる裁判ができることから弁護士達は過払い金請求に食いつきました。

そうした弁護士側の事情が過払い金請求という言葉が流行した背景に存在しています。

なお、弁護士の過剰供給を生み出した「法曹3000人計画」ですが2013年に「法曹2000人計画」が制定され、現在は過剰供給を生み出す流れはストップしています。

ただし、すでに生み出されてしまった大量の弁護士をどうするのかについては、まだまだ課題なのが現状です。

 

まとめ

過払い金とは返済で過剰に支払っていたお金のことです。

本来払う必要がないお金なので返済請求を行うことができ、ついでに5%の金利も加えることが認められています。

過払い金請求自体は債務者の権利であることから、請求しても特にデメリットなどは発生しません。

そのため、長い期間返済をしている借金がありましたら、一度返済履歴を取得して確認してみることをオススメします!

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